私たちの脳内では、無数の神経細胞がそれぞれの個性を踏まえて連結し複雑な神経回路を形成することで、認識、記憶、行動を支える情報処理を可能としています。当チームは、マウスの脳をモデルとして、任意のニューロンの形成する神経回路の入力-出力構造を一細胞レベルでマップするウイルス遺伝子工学的な手法を実現してきました。現在、これらのツールを使用することで、様々な社会的行動の根底にある視床下部のニューロンの接続パターンを体系的に比較解析しています。具体的には、性行動や生殖機能を制御するニューロンに焦点を当てて、シナプス結合パターンのレベルで神経回路の性差を研究しています。また、分娩や授乳といった大きなライフイベントに関連し、状態依存的に起きる神経回路の構造や機能レベルの変化を調べています。これらの“比較コネクトミクス”型アプローチは、神経回路の発生と機能とを統合的に理解するための基盤となります。私たちはまた、このような特定のタイプのニューロンを標的とした遺伝学的手法をマウス以外の哺乳動物に拡張するためのプラットフォーム作りにも取り組んでいます。
1. コネクトームにおける性差の構造とその発生機構
2. 雌マウスにおける妊娠にともなう神経回路機能のシフト
3. 神経回路構造と機能の種間比較
A:科学者の伝記を読んでチャレンジングな人生に憧れたこと。
A:まだ見出されていない美しさをとらえることです。
A:次々と考えて迷わず議論し、最も評判の悪いアイデアを伸ばすべし。
A:どうにも抜けられない難関というのはきわめてまれです。最初に大望を持つのが一番難しいところです。
A:最近は子育てに奮闘中です。
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