哺乳類の成体の心臓には、心筋梗塞などで障害を受けた後の再生能力がありません。その主因として、哺乳類の成体の心臓のポンプ機能を担う心筋細胞には、ごく一部のものを除いて、細胞分裂によって増殖する能力がないことが挙げられます。しかし同じ哺乳類でも、胎児期や生後すぐの新生児期には多くの心筋細胞が増殖能を保っており、心臓には再生能力があることが分かっています。我々はこれまでに、ミトコンドリア好気呼吸とそれによって生じる酸化ストレスが生後の心筋細胞の増殖能を失わせる原因の一つであることを見出しました。そこで、我々の研究室では、酸化ストレスにより細胞周期が制御されるメカニズムをより詳細に明らかにし、その機構をターゲットにした新しい心臓再生の方法を確立することを目指します。より具体的には、一部の心筋細胞が生後も増殖能を保つ機構、そしてミトコンドリア好気呼吸の低下による心筋細胞の増殖誘導の機構を理解し、そのエンジニアリングによる心筋再生の誘導の可能性を探ります。
1. 個体発生および老化過程での心筋細胞の細胞周期制御機構の理解
2. 心筋ターンオーバーにおける低酸素シグナルの機能解析
3. 酸素代謝制御による心筋再生誘導
A:色々ありますが、高校生の時に読んだ利根川進・立花隆「精神と物質」の影響が大きいと思います。
A:老病死は本当に避けられない運命なのか
A:NEVER STOP EXPLORING
A:書店巡り
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