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「高校生のための発生生物学実習講座2017」を開催

2017年11月28日
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理研CDBと理研生命システム研究センター(QBiC)は、兵庫県高等学校教育研究会生物部会および日本発生生物学会との共催で、高校生を対象とした1日の実習講座「高校生のための発生生物学実習講座2017」を11月19日に開催した。今年で6回目を迎える本講座は、高校生が発生生物学研究を体験する機会を提供するとともに、「高校教職員のための発生生物学実践講座」(*科学ニュース:2017.8.16、以下「教員研修」)に参加した高校教員を企画運営委員およびティーチングアシスタント(TA)として迎え、各校での実践への橋渡しをすることを目的としている。実習書の作成から当日の司会進行まで、講座の企画・運営の中心的役割を担う企画運営委員は兵庫県高等学校教育研究会生物部会所属の教員らが務め、会場は兵庫県立加古川西高等学校にて開催。当日の実習のアドバイスおよびレクチャーを、教員研修に引き続き、理研QBiCの大浪修一チームリーダー(発生動態研究チーム)が担当した。兵庫県内の高校6校から高校生21名と、12校から教員15名が参加した。

  1. 講座の様子
  2. 講座の様子

今回の講座のテーマは、8月に開催した教員研修の内容を踏襲し、線虫を用いた発生遺伝学研究。大浪チームリーダーから、3度のノーベル賞に輝いたモデル生物・線虫を用いた研究の歴史についてのレクチャーを受けた後は、教員らの指導の元、さっそく顕微鏡で実物を観察した。卵・幼虫・成虫の各発生段階や、雌雄同体・オスの性差を比較しながら、体の構造や動きを観察。また、ダンピー(Dumpy:体が太くて短い)、ロル(Roller:体がねじれている)、アンク(Uncordinated:運動異常)等の代表的な変異体を観察した。午後の実習では、ダンピー変異体を用いて、交配した子孫世代の遺伝形質を観察。顕微鏡を通してスマートフォンで撮影した写真を用いて、変異形質および正常な形質をもつ個体数を計数し、得られた結果から遺伝形質の伝わり方を班ごとに考察して、「メンデルの法則」から予想される結果との乖離について大浪チームリーダーを交え議論した。続いて大浪チームリーダーが緑色蛍光タンパク質(GFP)を使った研究事例を説明した後、実際にGFPを発現する線虫の観察。この際、教員らが作製した青色LEDランプを装備した簡易版の蛍光顕微鏡を用いた。

最後に、大浪チームリーダーから生徒たちに向けて、GFPを利用して、研究に限らず、どのようなことを実現したいかを自由に考えるように課題提起があり、サイエンスカフェ形式で話し合った。生徒たちからはユニークなアイデアがぞくぞく出され、議論は大いに盛り上がった。生徒たちは普段の学校とは異なる雰囲気の中、充実した時間を過ごしたようだった。また、企画・運営に携わった教員たちも、他校の教員らと協働して一つのプログラムを作り上げていく過程を体験して、自身の理解を深める共に、生徒たちの学びに寄り添い応援することを通して、新たな発見や気づきがあったようだった。

  1. 集合写真
  2. 集合写真

関連リンク  理研生命システム研究センター(QBiC)
 日本発生生物学会リンク
「高校教職員のための発生生物学実践講座2017」を開催
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