今年で9回目を迎える夏休みの恒例イベント「高校生のための生命科学体験講座」が、8月4日，6日の2日間にわたり開催された。研究者によるレクチャー、研究室見学、体験実習で構成される1日の講座で、高校生たち計47名が最先端の研究現場を体験した。

今年のテーマは、「遺伝子」。体の設計図である遺伝子がどのように私たちの体をつくっていくのか、また遺伝子のわずかな違いによって生じる個人差について、レクチャーや実習を通して学んだ。　実習は、アルコール分解に関わる酵素の一塩基多型を解析し、アルコールパッチテストによる簡易診断と合わせてアルコールに対する感受性を推定するという内容。自身の口腔細胞からDNAを抽出し、PCR法による遺伝子増幅、制限酵素処理、アガロースゲル電気泳動という一連の遺伝子解析手法を体験した。参加者たちは慣れない機器の扱いに苦心しつつも懸命に取り組んでいた。加えて、「究極の個人情報」とも言われる遺伝情報とどのように付き合っていくべきかについてもディスカッションし、理解を深めた。

また、形態形成シグナル研究チーム（林茂生チームリーダー）の協力のもと、午後の1時間ほどを使って研究者レクチャーと研究室見学を行った。安藤俊哉研究員が遺伝子変異ショウジョウバエを用いた研究の歴史や、自身がこれまで取り組んできた蛾の触角形態の進化に関する研究について分かりやすく紹介。その後、実際に研究が行われている現場を見学し、ショウジョウバエの様々な変異体の実物を観察した。

盛りだくさんの1日の終わりに撮影した集合写真では、参加者たちは疲れとともに充実の表情を浮かべていた。