独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター

2014年10月9日


リカレント講座2014を開催
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理研CDBは日本発生生物学会との共催で、今年で7回目となる「高校生物教職員のための発生生物学リカレント講座」を10月4日、5日に開催した。高校生物教育の充実に寄与することが目的で、2008年より毎年開催している。講座のオーガナイザーは今年も八杉貞雄首都大学東京名誉教授が務めた。


倉谷講師のレクチャー(左)と実習(右)の様子


講座は抽選で選ばれた約20名の教職員が参加し、一日目の朝には倉谷滋講師(理研CDB形態進化研究グループ グループディレクター)によるレクチャー、「カメはどのように進化したか」が行われた。進化の過程でカメが甲羅を獲得した仕組みを詳細な発生比較と遺伝子発現から明らかにする研究が紹介され、参加者から多くの質問があがった。午後からは「発生と細胞分化」をテーマに、石井泰雄講師(京都産業大学助教)の指導による実習が行われた。まず、学校でも実践可能なニワトリ胚の培養法、発生観察法を行い、さらにニワトリ胚からの初代細胞培養を行った。


実習(左)と八杉講師によるレクチャー(右)の様子


2日目の午前は、八杉貞雄講師(首都大学東京名誉教授)によるレクチャー、「発生における遺伝子の役割〜消化器官形成を例として〜」が行われた。消化器官の各領域の特徴がどのように決定されていくのかといったテーマに加え、発生生物学に遺伝子の概念が持ち込まれた歴史や、高校教育での遺伝子の扱いなど、幅広い話題が紹介された。その後、1日目から培養していた初代培養の観察を行い、脳、網膜、心臓、肝臓、骨格筋などで、それぞれ細胞の形態や特徴が異なることを観察し、受精卵が多様な細胞へと分化していることを確認した。さらに、網膜や肝臓の細胞を用い、培地からカルシウムイオンを除去してカドヘリンによる細胞接着機能を観察する実験も行った。みるみる細胞接着が剥がれ、細胞同士がバラバラになっていく様子に、参加者たちは驚きの声を上げていた。この他に、薄井芳奈講師(兵庫県立須磨東高校教諭)によるデモンストレーションが行われ、ウズラ胚の観察や心拍の変化をみる実習など、高校での実践例が紹介された。

参加者の集合写真


12月には本講座の実践編として、高校教員がティーチングアシスタントとなって高校生に同様の実習を指導する講座も開催される予定。



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