理研CDBは日本発生生物学会と共同で、6回目となる「高校生物教職員のための発生生物学リカレント講座」を昨年の10月5〜6日に開催した。また、今回は同講座の実践編として「高校生のための発生生物学実習講座」を12月25〜26日に開催した(理研CDB、日本発生生物学会、兵庫県教育研究会生物部会による共同主催)。
リカレント講座は、高校の生物教職員に発生研究の近年の進展や、高校で実践可能な実験手技を紹介することを目的としている。今年は関西地域を中心に教員20名が参加し、2日間のレクチャーと実習に取り組んだ。
|
発生生物学リカレント講座の様子 |
まず1日目午前には、理研CDBの竹市雅俊センター長が細胞の組織化をテーマにレクチャーを行い、カドヘリン研究の進展について紹介した。午後は京都産業大学の石井泰雄助教が実習講師を務め、簡便な方法を用いたニワトリ胚の発生観察を行い、さらに、ニワトリ胚から各種組織の細胞を培養する実験を行った。2日目には、本講座のオーガナイザーでもある八杉貞雄京都産業大学教授が、消化器官の発生機構をテーマにレクチャーを行った。午後は前日からの培養細胞を観察し、組織ごとの細胞の大きさや形態の違いを調べた。また、カドヘリンによる細胞接着の変化を観察する実験も行った。
12月に開催した高校生講座では、関西周辺7校から高校生21人がリカレント講座と同様の実験に熱心に取り組んだ。講師には兵庫県立大学の餅井真准教授を招き、リカレント講座に参加した8名の高校教員がティーチングアシスタントとして加わった。また、理研CDB大脳皮質発生研究チームの隈元拓馬研究員が、マウス脳の標本など実物を見せながら多能性幹細胞と細胞分化についてレクチャーを行った。これらの実習やレクチャー、ディスカッションを通して、生徒たちは細胞がそれぞれの個性を獲得していく仕組みを学んだ。
|
|
|
高校生講座での実習の様子と集合写真 |
|