今年で7回目を迎える夏休みのイベント「高校生のための生命科学体験講座」が、8月6日,8日の2日間にわたり開催された。研究者によるレクチャー、研究室訪問と体験実習を組み合わせた、盛りだくさんのプログラムだ。
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森本チームリーダーによるレクチャー(左)と研究室見学(右)の様子 |
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体験実習の様子 |
今年のテーマは、発生学のキーワードのひとつである「細胞分化」。午前中は、呼吸器形成研究チーム(森本充チームリーダー)の協力のもと、レクチャーと研究室訪問を行った。森本チームリーダーによるレクチャーでは、体を構成する細胞が専門化していく基本的な仕組みや、その重要性を網膜組織などを例に挙げ説明。さらに、マウス呼吸器をモデルにした自身の研究の一部として、呼吸器の細胞が環境を見分けて分化し、適所に配置されていく仕組みを紹介した。その後、研究室ではマウスの気管から採取した繊毛細胞が繊毛を使って動く様子を、顕微鏡で観察した。
午後の実習では、脳・肝臓・骨格筋より抽出したタンパク質をSDS-PAGEにより解析する手法を体験。ニワトリの初期胚から摘出した各組織からタンパク質を抽出し、電気泳動で分画したのち、分子量を概算してそれぞれの組織に含まれるタンパク質を推定した。また、泳動の時間を利用して、各組織の初代培養細胞を観察。突起を伸ばす神経細胞、多核の筋管細胞、拍動する心筋細胞など、分化細胞の形状や振る舞いを比較した。慣れないピペット操作やゲルの扱いに苦心しつつも、最後にゲルを染色しきれいなバンドが見られると、安堵と感嘆の声があがった。参加した高校生たちは、丸1日のプログラムに疲労をにじませながらも、充実した表情を浮かべていた。
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1日目集合写真 |
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2日目集合写真 |
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