理研CDBでは、12月25日、26日の2日間にわたり、高校生を対象とした発生生物学実習講座が開催された。この講座は、兵庫県立須磨東高等学校が(独)科学技術振興機構のサイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)の支援を受けて開催されたもので、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)広報国際化室、兵庫県立大学理学部生命科学科細胞制御学 I 講座が連携機関として本講座を支援した。CDBの施設を利用した実習体験に加え、研究者によるレクチャー、施設見学と盛りだくさんの2日間となった。
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ウズラ胚を取り出して解剖(左)、培養した細胞を班で観察(右上)、
ディスカッション(右下) |
今回のテーマは、「胚発生と細胞分化」。まずはウズラ8日胚を解剖し、発生の進んだ胚の体の中の様子を観察。その後、胚から摘出した各組織の細胞の初代培養を行った。骨格筋細胞・神経細胞・線維芽細胞などを取り出して培養し、翌日には培養皿に接着して様々な特徴を発揮する種々の細胞の様子を観察した。また、アポトーシスを検出する試薬を用いて胚を染色し、四肢の形成において、特定の部位の細胞がプログラム細胞死を起こすことで指が形成されていく過程を観察した。2日目の朝には、理研CDBの築山智之研究員(多能性幹細胞研究プロジェクト、丹羽 仁史プロジェクトリーダー)が「多能性幹細胞と細胞分化」と題して、多能性の定義や、幹細胞が多能性を維持するための仕組みなどについて講演した。2日間の実習を終えた最後には、細胞の分化とは何か、それがどのように制御されているかなどについてディスカッションし、考察を深めた。
参加した生徒たちは、普段教科書でしか見ることのできない生物学の世界を体験し、複雑精緻な生命のしくみに触れることができ、非常に充実した2日間となったようだった。
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