理研CDBと日本発生生物学会は、高校の生物教職員を対象とした「発生生物学リカレント講座」を10月3〜4日に開催し、関西地域の教員を中心に約30名が参加した。本講座は高校生物教育への貢献を目的としており、昨年に引き続き2回目の開催となった。
本講座のメインテーマは「ニワトリ胚の教材化」と「オーガナイザー移植」で、レクチャーと実習を中心にプログラムが組まれた。1日目は、八杉貞雄氏(京都産業大学教授)による「オーガナイザー研究の歴史と新展開」と題されたレクチャーが行われ、引き続き柴田幹士氏、竹内雅貴氏によるカエル胚を用いたオーガナイザー移植(Einstek法)のデモンストレーションが行われた。シュペーマンのオーガナイザー移植は高校の教科書でも取り上げられているが、多くの参加者は実際の移植操作を見るのは初めてで、その難しさに驚きの声を上げていた。次に、福田公子氏(首都大学東京准教授)によるニワトリ胚の実習が行われ、ニワトリ発生の基本、有精卵の入手方法、胚の摘出・観察法など基礎を学んだ。有精卵は実験材料として安価な上、比較的簡単に胚の観察ができることから、「学校の実習で試したい」という声が参加者から多く聞かれた。続いて、ニワトリ胚のオーガナイザー(ヘンゼン結節)を別の胚に移植し、二次軸を誘導する実習が行われた。
2日目は、現代発生生物学のトピックとして、丹羽仁史氏(理研CDBチームリーダー)が「iPS細胞ができるまで―多能性研究の系譜」と題したレクチャーを行い、多能性幹細胞の発見からES細胞の樹立、iPS細胞ができるまでを俯瞰的に解説した。その後、オーガナイザー移植の結果観察と、ニワトリ胚へのGFP導入実験が行われた。
本講座の様子はホームページのフォローアップのコーナーに詳しく掲載され、またレクチャーはCDB Podcastでも配信されている。
なお、本講座は独立行政法人科学技術振興機構の「理数系教員指導力向上研修事業」の支援を受け、首都大学東京生命科学専攻および兵庫県教育委員会との連携のもと実施された。
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