上田泰己氏が文部科学大臣表彰を受賞 |
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理研CDBシステムバイオロジー研究チームのチームリーダー、上田泰己氏(30)が、文部科学大臣表彰の一つ、若手科学者賞を受賞した。同賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究など、高度な研究開発能力を持ち、顕著な研究業績をあげた若手研究者に毎年授与されている。同氏は、哺乳類の体内時計を司る遺伝子ネットワークの解明をテーマに研究を進め、時刻特異的な発現を示す多数の遺伝子を同定してきた。さらに、時計の心臓部となる16個以上の「時計遺伝子」が複雑な転写ネットワークを形成し、様々なタイミングの遺伝子発現を生み出すメカニズムを明らかにしてきた。
ポストゲノム時代と呼ばれる現在、ゲノム研究によって生まれた研究インフラストラクチャーを動的で複雑な現象の解明に活かす方法論が求められていた。同氏の研究は、DNAマイクロアレイ等の新たな技術を駆使した包括的かつ体系的な発現解析がメカニズム解明の鍵となっている。また、時刻特異的な発現を司るDNA配列を同定するに当たっては、発現リズムを細胞レベルで簡便かつ長期的にモニター可能な実験系を新たに構築した。同氏は、「私たちの方法論が評価されたことは非常に嬉しい。体内時計をモデルケースに、今後は空間情報を含むより複雑な発生現象も視野に入れて研究を進めたい」と語る。表彰式は、同賞および科学技術賞のほかの受賞者とともに、4月18日東京虎ノ門にて行われた。
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