脊椎動物の脳の構造をテーマに講義及び実習コースを開催 |
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CDBはスペインのムルシア大学からLuis Puelles氏を講師に向かえ、脊椎動物の脳の構造やその進化に関するレクチャー(2005 CDB Lectures and Practical Course of Brain Morphogenesis)を開催した。3月28日から4月1日の5日間にわたって開催されたこのコースでは、哺乳類を中心に比較解剖学的考察を交えた講義に加え実習も毎日行われた。今回のプログラムはCDB内部及び外部から事前に募集した15人の研究者が参加したが、そのうちの一人、黒田公美さん(理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チーム)から以下のような感想が寄せられた。
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講義中のProf. Puellesと参加者達 |
この度、2005 CDB Lectures and Practical Course of Brain Morphogenesisに参加させていただき、ほんとうにありがとうございました。5日間にわたり脊椎動物の中枢神経系の発生について集中講義を受け、さらに午後には染色切片を用いた実習を行いましたことは、かけがえのない貴重な経験となりました。
私は神経発生に関してはまったく初心者でしたが、講師のPuelles先生には非常にわかりやすく講義をしていただき、また質疑応答にも時間を割いていただき、かなり高度な内容ながらなんとかついていくことができました。脊椎動物の神経発生の分子メカニズムを詳細に比較検討することによりこれまでとは違う脳の区分を確立し、さらにこの新しい見方を応用すれば脳の構造と機能がはるかに論理的に把握できることを明らかにされた先生の業績には深い感銘を受けました。また、Puelles先生の親しみやすいお人柄や、自他のものによらずデータを批判的に慎重に検討する姿勢にも学ぶところが大きかったです。他の参加者の方々とのディスカッションも勉強になり、私自身の普段の研究にも役立つ知見をたくさん教えていただきました。
この度のレクチャーを発案・実現された相沢先生や笹井先生、また村瀬様をはじめとするCDBの皆様方のご尽力に心より感謝いたします。資料や顕微鏡の準備など、たいへんなご苦労もあったことと存じますが、実技を含めじっくりと時間をかけて一つのことを学ぶ今回のようなレクチャーコースがもっと国内でも催されれば、日本の生物学研究全体のレベル向上につながることと思います。CDBばかりでなく他の研究機関でも、この素晴らしい成功例につづくレクチャーが今後開かれることを願っております。
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