アジア太平洋 発生生物学シンポジウム |
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理化学研究所神戸研究所 発生・再生科学総合研究センターで、アジア太平洋地域の研究者が一堂に会するシンポジウムが開かれた。このシンポジウムは日本発生生物学会 (JSDB)と国際発生生物学会(ISDB)が、日本学術振興会(JSPS)の援助をうけて開催したもので、150席のCDBオーディトリアムでは中国、インド、シンガポール、韓国、日本、台湾の研究者らの講演が行われた。
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アジア太平洋発生生物学シンポジウムに参加した研究者や講演者
(2004年11月8日、神戸CDBにて) |
第一セッションに、 Temasek Life Sciences Laboratories(シンガポール)のWilliam Chia氏によるショウジョウバエの筋芽細胞融合に関する講演が行われ、続いてMichael Bate氏がケンブリッジ大学(英国)とNational Centre for Biological Sciences (インド)を代表し、ショウジョウバエの胚における蠕動運動の遺伝子制御について発表した。続いてテーマは感覚器官発生へと移り、香港大学(中国)のKathy Cheah 氏が内耳器官発生におけるSox2 の役割について述べ、Academica Sinica (台湾)のHenry Sun 氏がショウジョウバエの眼の発生過程での細胞増殖制御について語った。
短い休憩を挟んで、ハンヤン大学 (韓国)のMyung Chan Gye 氏がマウスの血液精巣関門を形成する細胞間密着結合に関する興味深い発表を行い、その後Center for the Molecular Genetics of Development(オーストラリア)のRob Saint 氏がハエの発生過程におけるRhoファミリー低分子量GTPアーゼの役割について述べた。続いて清華大学(中国) のAnming Meng 氏がゼブラフィッシュにおける神経外胚葉のパターニングについて講演を行い、最後には名古屋大学(日本)の黒岩厚氏が肺芽形成における位置情報について語ってシンポジウムを締め括った。
講演者らは、ミーティングの前後にアジア太平洋地域の発生生物学者間のネットワークの確立および強化について話し合った。域内で同じ分野に取り組む研究機関や研究室、研究者が交流する機会を増すことの重要性を確認したうえで、アジア太平洋発生生物学ネットワークを立ち上げるためのワーキンググループを発足させ、アジア太平洋地域の発生生物学の交流や共同研究の促進につなげていくことに合意した。 2005年9月シドニーで開催される第15回国際発生生物学会(ISDB)にて、ネットワーク発足を記念するミーティングの開催が予定されている。
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