線虫 C. elegans の研究者が集う Meeting は 2 年に 1 回アメリカで International Meeting が開かれている。また、 International Meeting が開かれない年には世界各地(アメリカ三カ所およびヨーロッパ)で Regional Meeting が開かれている。日本でも、 1998 年から二年に一回日本集会が開かれていたが、日本語による集会であり、参加者はほとんど日本人であった。今回は日本集会を発展させ、 East Asia C. elegans Meeting として、東アジアの研究者とともに英語による集会を開いた。線虫の他の集会( International および Regional Meeting )と同様 East Asia C. elegans Meeting においても口頭発表は、学生やポスドクを中心に10分前後の短い発表で行われた。
集会を始める前に一番心配されたのは、英語での発表がきちんと行えるかであったが、実際に発表を聞いてみると取り越し苦労であったことがわかった。質問の際には返答につまる場面もあったが、発表自身にはほとんど問題がなく、中には非常に流ちょうな英語を話す学生もいた。この集会の一番の成果は日本でも英語での集会が問題なく行えることを示したことであるように思える。二年前に East Asia C. elegans Meeting についてアンケートを行った際には慎重な意見が多く、とりあえず一回 East Asia C. elegans Meeting を開いてみることになったのだが、今回の集会の後のアンケートでは今後も East Asia C. elegans Meeting を続けていくことを指示する意見が多数を占めた。今年は日本生化学会でも全てのシンポジウムが英語で行われるようである。今後日本国内でも英語による発表はますます増えるであろう。
また、今までの集会、学会にはなかった新たな試みとして、口頭発表者による poster session ( poster discussion )を行った。口頭発表の後(コーヒーブレーク時やセッション終了直後)、会場内の周囲に設置したポスターボードにて発表ファイルのプリントアウトなどを用いて discussion を行ってもらった。他の学会などでも口頭発表を聞いた後、疑問を持ったが手を挙げてまで質問できない、もしくは質問をする時間がない場面はよくある。また、発表者にとっても、口頭発表では多くの人の意見を聞けないことを不満に思う場合も多い。 poster discussion はこれらの不満を一気に解消してしまったようである。もともと英語による質疑応答がうまく行えないことを想定し、それを補うために企画したのだが、予想以上に好評であった。アンケートでも 98% が「よかった」と答えている。他の学会集会でも時間に余裕があればこのような企画があればいいと感じた。
East Asia C. elegans Meeting Head Organizer, CDB 細胞運命研究チーム 澤 斉